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2分30秒の芸術〜「詩舞(しぶ)」を知る

初めまして、詩舞の星舟流・上席正師範 見城 星梅月(けんじょう せいばいげつ)と申します。今日は、まだ「詩舞(しぶ)」をご覧になったことがない方のために、「詩舞」の魅力を、3つの点からご紹介したいと思います!

1.2分30秒で舞尽くす

詩舞は、漢詩の絶句(ぜっく:4行詩のこと)を、地方(じかた:演奏者・唄い手)である「吟詠(ぎんえい)」が詠いあげるのに合わせて舞う舞踊です。
1つの絶句を詠いあげるのにかかる時間はおよそ2分30秒。
ですから、詩舞では、さまざまにある漢詩の世界観を2分30秒で舞い尽くさなければなりません。わずか2分30秒の中、詩に描かれた風景や詠いこまれた心情を深く察し、扇や日本の伝統的な身のこなしを使って表現していきます。人生あり、ドラマあり、恋があり・・・起承転結はもちろん、登場人物の感情や精神性を、身体全体で表現します。

吟詠に合わせて舞う

2分30秒は時間にしてみればあっという間ですが、修錬を重ねていくと、一舞、舞うだけでも心拍数が上がり、舞台袖にハケる(舞台の袖に消える)ころには息が切れるほど・・・この2分30秒の世界を心をこめて舞いつくすには、かなりのエネルギーが必要です。

2.武士のたしなみから生まれた詩舞

詩舞は、もともとは剣舞(けんぶ)から分かれた舞です。剣舞の始まりは、江戸時代後期の歌人がつくった漢詩に、武芸に秀でた武士が振りをつけ、刀を抜いて足でバッタバッタと床を踏み鳴らしたという「板割り剣舞」だと言われています。この剣舞が、やがて刀を扇に持ち替え、畳(たたみ)の上で楚々(そそ)と静かに舞う「詩舞」となりました。

こうして武士のたしなみであった剣舞から生まれたので、詩舞の出で立ちは、武士の装いである「紋付き袴」となっています。

詩舞の出で立ち


当時の詩舞と今の詩舞

ちなみに、剣舞から始まったと聞くと、「勇ましい踊り」というイメージを持たれる方がいるかもしれませんね。確かに、生まれた当時の詩舞は男社会のおどりだったかもしれませんが、現代では、男性より女性の舞手の方が多くなりました。

ですので、舞の形もゆったりとやわらかく、色気をかくし、それでいて表現ゆたかに凛として舞うのが現代の詩舞です。
女性の舞手が背筋を伸ばし、指先をきっちりそろえて美しく舞う。その指先から流れる目に見えぬ糸が、紋付き袴でかくれた女性のやわらかさをかえって際立たせ、逆に品の良い色気がうまれるのです。

女性の舞手

3.シンプルだからこそ見えるもの

最後は、剣舞や詩舞の小道具についてです。
剣舞の小道具と言ったら、やはり主役は刀。江戸時代の武士が持っていた大小2本の刀のうち、使用するのは大きい打刀(うちがたな)のみとなっています。詩によっては、刀に合わせて扇を持ったりもします。
詩舞では主に扇を使い、場面に応じて扇を笛や刀に見立てて表現します。

現代の演劇などとは異なり、剣舞も詩舞も、衣装や小道具で詩の内容を写実的に表すことはほとんどありません。風景や詩の内容にふさわしい色合いの袴や扇にしたり、剣舞では戦の場面で襷や鉢巻きを用いたりするくらいです。

え、それだけ??と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、衣装や小道具がシンプルなだけに、舞手一人一人の表情や身体の使い方がよくわかり、同じ演題でも舞手によって違う色が出るので、面白いですよ!逆に、舞手としては技術が如実に出てしまうので、そこで苦悩することもあるのですが・・・

大勢で舞う

さあ、詩舞の魅力を3つの点からご紹介しましたが、いかがでしたか。詩に舞が重なった魅力をぜひ多くの方に知っていただき、せっかくこれまで伝わってきた日本の文学、吟、剣舞、詩舞の魅力を絶やさず後世に伝えていきたいと願っております。興味を持った方は、ぜひ一度、ご覧になってみてください。

次回は、袴のひだ一つ一つにある意味を紹介したいと思いますので、お楽しみに!

この記事の著者

詩舞 星舟流 上席正師範
見城 星梅月(けんじょう せいばいげつ)

本名 横室真弥(よこむろまや)
公益財団法人 日本吟剣詩舞振興会公認
常葉学園高等学校、日本大学芸術学部演劇学科日舞コース卒
2歳より祖母・見城皛嶺、母・見城星舟に師事
平成25年度 公益財団全国剣詩舞コンクール決勝大会 優勝、NHK杯・会長賞受賞
全国から集められた明日を担う若人たちで結成された「剣詩舞スーパーチーム」の一員として、数々の舞台出演やPR活動を行う。

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