はじめての日本舞踊鑑賞ガイド | 初心者でも楽しめる伝統芸能の魅力と鑑賞マナー

日本舞踊には、舞踊という漢字にも表れているように、もともと「舞(まい)」と「踊(おどり)」がありました。今では、日本舞踊といえば、その多くが江戸時代初期の「歌舞伎踊り」を起源とする舞踊。三味線や太鼓、笛などの和楽器による音楽に合わせて、扇子や手ぬぐいなどの小道具を使いながら踊る総合芸術です。
本記事では、はじめて日本舞踊を鑑賞する方に向けて、その魅力や楽しみ方をご紹介します。
日本舞踊とは?初心者が知っておきたい基礎知識

日本舞踊は、江戸時代初期の「歌舞伎踊り」を起源とする舞踊。三味線や太鼓、笛などの和楽器による音楽に合わせて、扇子や手ぬぐいなどの小道具を使いながら踊る総合芸術です。
現在では「花柳流」「藤間流」「若柳流」「西川流」「坂東流」の五大流派を中心に、それぞれ独特の美しさを持つ踊りが受け継がれています。一つ一つの所作に意味があり、季節の移ろいや人の心情を繊細に表現するのが特徴です。
着物の美しさ、化粧の華やかさ、そして洗練された動きが織りなす舞台は、まさに「動く日本画」と呼ぶにふさわしい芸術作品です。事前知識がなくても、その美しさは直感的に伝わってくるでしょう。
はじめての鑑賞で押さえておきたいポイント

日本舞踊鑑賞のコツは、「完璧に理解しようとせず、まずは美しさを感じること」です。演目の内容が分からなくても、舞踊家の表情や手の動き、着物の色彩美を楽しむことから始めましょう。
特に注目していただきたいのは「間(ま)」です。日本舞踊では、動きと静止のバランス、音楽との絶妙な掛け合いが重要な要素となっています。静寂の瞬間にこそ、舞踊家の技量と表現力が現れます。
また、季節感を大切にする日本舞踊では、演目に込められた四季の美しさも見どころです。春なら桜、夏なら涼、秋なら紅葉、冬なら雪景色など、日本人の美意識が凝縮されています。プログラムに書かれた演目の背景を軽く読んでおくと、より深く楽しめるでしょう。
日本舞踊鑑賞の服装とマナー

日本舞踊鑑賞に特別な服装規定はありませんが、やや改まった装いがおすすめです。男性はジャケット着用、女性はワンピースやスーツなど、品のある服装を心がけましょう。もちろん、着物での鑑賞も素敵です。
鑑賞マナーとして大切なのは、静寂を保つことです。演技中の私語や携帯電話の使用は厳禁。また、写真撮影も基本的に禁止されています。拍手のタイミングは、一つの演目が完全に終わってからが基本です。
気をつけたいのは、夏に日本舞踊見に行く時。浴衣はカジュアルな装いなので、一般的には避けた方が安心です。
ただし、日本舞踊の会でも「浴衣会」となっている場合は、浴衣でも問題ありません。浴衣に、夏物の帯でお太鼓に締めると、より上品な装いになりますよ。
日本舞踊公演の種類と初心者おすすめの楽しみ方

初心者には、親しみやすい古典の演目がある公演をお勧めします。
どの日本舞踊の公演でも、古典と呼ばれる「藤娘」「京鹿子娘道成寺」などから、新作も取り混ぜて行われることが多いですので、プログラムの演目を見て、どの公演に行くか選んでみてください。
日本舞踊の公演には、大きく2つの種類があります。
1つは、舞踊家や舞踊協会などが主催する公演。レベルの高い舞踊家による舞踊が楽しめます。舞踊業界の人も観覧していることが多いので、会場の雰囲気は、初心者には少し緊張するかもしれませんが、上質な日本舞踊の舞台を見たい方には最適です。
もう1つは、日本舞踊教室(稽古場)の先生が主催する公演。いわゆる発表会です。初心者から舞踊家まで、いろんなレベルの踊りが楽しめます。演者も子どもからご年配の方まで年代は様々。会場には、演者の家族・子どもいたりしますので、ほのぼのとした雰囲気のことが多いです。気楽に見たい方には、おすすめです。
初心者におすすめの代表的演目
藤娘(ふじむすめ)

藤の精が美しい娘の姿で現れ、恋心を表現する幻想的な舞踊。紫の藤の花をあしらった豪華な衣装と優雅な所作、長唄の美しいメロディーが織りなす視覚的な美しさを存分に楽しめる初心者におすすめの演目です。
映画「国宝」で演じられていたように、2人で藤娘を踊る場合もあります。
鷺娘(さぎむすめ)

雪景色の中で白鷺の精が美しい女性の姿で現れる幻想的な舞踊。純白の衣装による優雅で気品ある舞と、鷺から人間、そして精霊への変化が美しく描かれています。
日本舞踊の引き抜きが沢山あり、衣装も5種類ほどみられて変化が多く、素人目にも楽しい舞台です。
京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)

道成寺の鐘供養に現れた美しい白拍子が、実は蛇の化身だったという物語です。華やかな衣装から恐ろしい蛇体への劇的な変化と、扇子を巧みに使った踊りで、日本舞踊の技術の集大成を堪能できる名作。
「二人道成寺」という演目で、2人で踊ることもあります。映画「国宝」でもそのシーンがありましたね。
ちなみに、日本舞踊では「京鹿子娘道成寺」の他に、「男女道成寺(めおとどうじょうじ)」「奴道成寺(やっこどうじょうじ)」「紀州道成寺(きしゅうどうじょうじ)」など道成寺の演目は複数あります。これらを総称して「道成寺物」と呼ばれています。
公演会場も様々で、格式高い国立劇場から、アットホームな小劇場まで選択肢は豊富です。初心者の方は、解説付きの公演や「鑑賞教室」から始めると理解が深まります。
実は、日本舞踊の演目数は、数百を超えると言われているほど多数。季節の行事や祭り、江戸時代の風物を題材にしたものも多く、その主役は、殿様お姫様もいれば、町場の大工や乞食まで、バラエティに富んでいます。どんな立場の人も主役にしてしまうところが、日本文化の大らかさなのかもしれません。
演目の中には、春夏秋冬がすべて出てきて、踊り分けることも…。「もしかしてこんな事かな?」と、あれこれ想像しながら、あなたの自由な気持ちで鑑賞するのが、一番正しい鑑賞法かもしれません。
日本舞踊は一度鑑賞すると、その奥深さに魅了される方が多い芸能です。まずは気軽な気持ちで劇場に足を運び、日本が誇る美の世界を体験してみてください。
日本舞踊公演情報をチェックしよう

日本舞踊に興味を持たれた方は、ぜひ実際の公演に足を運んでみましょう。当サイトでは、日本舞踊をはじめとした伝統芸能のイベント情報を随時ご紹介しています。
初心者向けの解説付き公演から、本格的な古典演目まで、さまざまなレベルの公演情報を掲載しておりますので、ご自身に合った公演を見つけていただけます。
ただし、公演スケジュールは時期によって異なりますので、定期的にチェックしていただくことをおすすめします。
また、ワークショップや体験教室などの情報もご案内することがありますので、「観る」だけでなく「体験する」機会もぜひご活用ください。日本の伝統文化への理解がより一層深まることでしょう。
和ものびとでは、今後も日本の伝統文化・芸能の担い手から様々な情報をお届けします。更新情報はSNSで随時お届けしてまいりますので、日本文化がお好きな方、和ものについて興味をお持ちの方は、ぜひ下記よりフォロー・登録をお願いいたします。
また、周りの方への口コミでのご紹介も大歓迎です!
リンクフリーですので、ぜひ応援よろしくお願いいたします。